
十年一昔、と言うけれど早いもので僕もこの仕事を始めて、まる十年が経ってしまった。
これだけ目まぐるしい時代になると「三年一昔」くらいに表現した方がいいのではないかとも思うが、とりあえず一区切りつけて新たな十年が始まる事になった。
月日ばかり経ってしまっていっこうに中身が向上する気配なし、というのが悲しいところだがそこはもう暫く様子見という事にしておこう。
十年先の自分の姿を見据えて仕事をしろ。

と、時々言われてきた筈だがその言葉が届いていたのはどうやら耳までで、頭の中まではその音声信号は変換されなかったようだ。
パラレルワールド(現実とは別のもうひとつの平行して存在する世界)をあまり信じていないが、あるのだったらぜひ覗いてみたいと思う。そこで自分はどんな十年を送ってきたのか。
なんとも体たらくであるから、多くの人に支えられているこちらの世界の方がまだマシにやれているのかもしれない。そもそもまっとうに存在しているのかすらよく分からないけれど。

年が明けてさざ波のように穏やかな街とは裏腹に、毎年毎年相も変わらず気忙しい新年を迎えている訳だが、次の十年後どんなふうな年が明けているのか。

その頃には、いいかげん僕もいい歳だ。